129 億光年かなたの銀河のクェーサーからの強力な分子ガスのアウトフローを捉えることに成功。アウトフローが初期宇宙の銀河における星形成抑制をもたらしたか

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宇宙初期のクェーサーにおいて分子ガスのアウトフローが観測された例は過去、わずか2天体しかなく、3つめに分子ガスフローが観測されたクェーサーから銀河の成長に影響を及ぼすだけの勢いのあるフローが初めて観測されました。

以下のWebサイトで2024年2月1日に発表された研究成果です。
・国立天文台 アルマ望遠鏡   https://alma-telescope.jp/news/quasaroutflow-202401
・国立天文台   https://www.nao.ac.jp/news/science/2024/20240201-alma.html

観測されたフローは129 億光年かなたの銀河にあるクェーサーJ2054-0005からのもので、その速度は毎秒 1,500km、流出している分子ガスは1年間あたり太陽質量の 1,500 倍に相当する量でした。流出量は銀河の中で新たに作られる星の量と比べて大きく、この銀河では1000 万年ほどで星の材料となる分子ガスが枯渇し、新たな星が形成されにくくなると考えられるとのことです。

宇宙では星形成が不活発な巨大銀河が存在していることが知られていますが、その原因はわかっていませんでした。銀河の星形成に影響を与える強力な分子フローがクェーサーから流出していることが初めて確認されたことで、クェーサーによる星形成抑制によって不活発な巨大銀河がつくられる可能性がでてきました。 

北海道大学高等教育推進機構の Dragan SALAK(サラク=ドラガン)助教、筑波大学数理物質系の橋本拓也助教、早稲田大学理工学術院の井上昭雄教授を中心とする研究チームは、アルマ望遠鏡を使った観測で分子ガス中の OH(ヒドロキシラジカル) によって生じる吸収線を検出することで分子ガスの挙動を解析。速度や流出量を見積もることに成功しました。

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