延期されていたH3ロケット2号機の打ち上げ日は2月15日

2023年3月7日のH3ロケット初号機(TF1)の打ち上げ失敗で、延期されていたH3ロケット2号機(TF2)の打ち上げ日が2023年12月28日に発表されました

打上げ予定日2024年2月15日(木)
打上げ予定時間帯9時22分55秒~13時6分34秒(日本標準時)
打上げ予備期間2024年2月16日(金)~2024年3月31日(日)
打上げ場所種子島宇宙センター 大型ロケット発射場

ロケット性能確認用ペイロード(VEP-4)を搭載して性能を確認するとともに小型副衛星2機(CE-SAT-IE、TIRSAT)を軌道に投入します。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)は当初、2号機で先進レーダ衛星「だいち4号」を打ち上げる予定でしたが、初号機の失敗を受けて計画を変更しました。

初号機(TF1)の経験を活用してテストできるよう初号機(TF1)と同じ機体形態にしています。性能確認用ペイロード(VEP-4) は初号機で失われた先進光学衛星「だいち3号」(ALOS3)を模擬しています。ペイロード分離までは飛行経路は初号機(TF1)と同じコースに設定されます。

初号機(TF1)の失敗原因として3つの故障シナリオが考えられ、それぞれについて対策を施して2号機(TF2)に臨みます。具体的には以下の内容です。
(1)エキサイタ内部で軽微な短絡、着火信号後に完全に短絡
(H2Aロケットに共通)
•エキサイタの製造時に短絡や地絡を生じやすい状態にあり、打上げ時の振動や1/2段分離時の衝撃によってエキサイタ内部で軽微な短絡・地絡状態となり、着火信号(エキサイタへの通電)後に完全に短絡・地絡し、過電流を発生
→対策:エキサイタ内部の電気部品の絶縁強化およびX線CT検査強化を実施
(2)エキサイタへの通電で過電流状態が発生
(H2Aロケットに共通)
•地上点検時、エキサイタ内部のトランジスタに絶対最大定格以上の電圧が印加されており、その繰り返しによって当該トランジスタの電圧耐性が低下。フライト中の着火信号(エキサイタへの通電)によってトランジスタに電圧が印加され、電気的発振動作を開始した直後、トランジスタが定格以上の電圧に耐えきれず短絡し、過電流を発生
→対策:トランジスタに印加される電圧が定格内となるように部品選別を実施
(3)PSC2 A系内部での過電流、その後B系への伝搬
(H3ロケット固有)
•フライト中の環境等により、PSC2 A系降圧回路の一部の部品が故障。着火信号(エキサイタへの通電)の瞬間に生じる過渡的な電気変化と当該故障に伴い、A系降圧回路のフィードバック制御が不安定となり、駆動電源電圧の上昇で定電圧ダイオードが短絡し、過電流を発生。その後、短絡電流がA系リターンラインからB系リターンラインに分流し、B系リターンラインの電位が変動した結果、B系電圧モニタオペアンプ出力が異常となり、駆動電源電圧の上昇でB系の定電圧ダイオードも短絡し、過電流を発生
→対策:A系/B系双方の定電圧ダイオードを削除

JAXA資料
jaxa_doc01_20240110.pdf
p16

初号機(TF1)と2号機(TF2)は基本的には同じですが、上記の赤い部分が異なります。

2号機(TF2)では第1段のLE9エンジンがType1と、それと若干、異なる性能のType1Aの2基のエンジンが搭載されています。LE9エンジンは性能向上の開発が進んでいて、Type2と呼ばれるエンジンの開発を目指しています。Type1AはType2に向けた過渡的のエンジンという位置づけです。